2012年8月26日日曜日

とらやさん(赤坂本店)下準備

竹のパーツの制作です。

竹を16枚に割って皮だけにしたものです。
この作業は自分ではできません。
Hさん、感謝です!


まず着色です。


選んだ色は4色!
 カドミウムレッドライトヒュー
 ディープバイオレット
 アクラマゼンタ
 ブルシアンブルー



一度ではきれいに色がでません。
乾かした後にもう一度塗っています。


表面だけを塗ることはできず、脇にも裏(竹の表面)にも塗料が回ってしまいます(−−;)

そのため、乾かした後に脇の部分は鉈で削ります。


竹の表面についた塗料は、金タワシで削り取りました。
竹の膜ごと剥がれましたが、竹に傷はつきませんでしたよ。

色塗り終了!



ワイヤーも目立たないように、竹と同じ色を塗っていますよ〜。











次にパーツ作りです。

同色の竹を向かい合わせにして片方を留めます。
もう片方は色が外にむくようにひねって留めています。


制作時に使い易いように、色ごとにまとめています。


下準備完了です!

とらやさん(赤坂本店)いけこみ

地下1階(菓寮)閉店後、
前回の作品の撤去と同時進行で1階店舗の小品をいけこみます。

花材は「なつはぜ/夏櫨」「ヒペリカム」「りんどう/竜胆」です。
・・・この時点で入れているのはヒペリカムと竜胆だけです。
夏櫨は、翌朝足しました。

同時進行で大作に使用する花梨の葉を取っています。


いつになく真剣な表情です・・。
いけ終わった作品は、1階の所定位置に移動します。


前回の作品の撤去が終ると大作にかかります。

台の中央やや奥に花器を設えました。
花器は鉄製で直径70cm、高さ10cmです。

最初に、輪にした竹を花器にかぶせます。
次に花梨の枝を入れます。
重心を取りながら自立させます。


花梨を入れ終わった後、竹のパーツを入れていきます。

こんな感じになりました!
これが土台となり、一ヶ月間このままです。



次に夏櫨を入れます。
花梨の枝や竹が組まれていますので、躱しながらの作業です。



全体を見ながら、不要なところを取り除きます。


最後に菊と百合の花を入れました。


完成で〜す!






2012年8月25日土曜日

とらやさん(赤坂本店)にフラワーク

本日8月25日から9月25日まで、とらやさん(赤坂本店)のお花を担当します。
地下一階にある菓寮に大作を。
一階の店舗には小品です。

夏から秋へ移る季節。
待ち遠しい実りの秋、9月は菊の節句でもあります。

そこで大作の花材は、
「かりん/花梨」「なつはぜ/夏櫨」「きく/菊」「ゆり/百合」にしました。
雅やかにしたいと思い、裏を着色した竹の皮をプラスしています。

      ◆正面から

私の中では、「雅な秋」をテーマにしたのですが・・・(^^;)
MMさんからは「雅は感じないけど、秋は感じるよ」と言われました。
「まっ、いっかぁ」

      ◆やや左から






      ◆左後ろから



      ◆やや右から

 



1階の店舗には、
「ヒペリカム」「なつはぜ」「りんどう」をいけました。
こちらも、裏を着色した竹をさらに細く裂いてプラスしました。

      ◆正面から


今日から9月25日まで、毎朝1時間の早起きです。
きれいな状態を保つ為には毎朝のお手入れが欠かせません。

花材の取り替えもありますので、作品の変化もお楽しみください。

2012年8月23日木曜日

水を意識する(4-12)

「水」を作品を構成する要素として意識します。
・・・もっと押しすすめて、
水を主役に、水を見せる作品を目指します。

さて、Nさんの作品です。

花材は「のばら(実)」「はらん」「デルフィニウム」です。

裂いたはらんを水中まで垂らし、視線を水に導いています。
はらんの隙間から見えるデルフィニウムが涼しげです。
のばらは高さを抑えて、視線が低くなるようにしています。


        ◆正面から


        ・・・ちょっと近づいてみました。



        ◆やや右から

のばらの動きに躍動感を感じます。
正面から見るよりも立体感があります。

        ◆やや左から

ゆったりとおおらかな印象です。
のばらの動きがリズミカルです。

           ◆のばら(野茨)[バラ科]

ばらの原種のひとつで、初夏に白い花を咲かせます。
いけばなの花材としては、主に今回のような実の状態になったもの使用します。

枝分かれした先に付ける丸い実の動きに、おもしろみがあります。


             ◆はらん(葉欄)[ユリ科]


はらんは全体が濃緑色の青はらんの他、縞や斑の入るものがあります。
今回のように上部に白く斑の入っているものは、
「あさひはらん/旭葉蘭」と命名されています。
ほかには、縦縞に斑の入っているものが「しまはらん/縞葉欄」、
小さな点のように斑が入っているものに「ほしはらん/星葉欄」です。

           ◆デルフィニウム[キンポウゲ科]

デルフィニウムは、濃い青から今回の藤色など、
ブルー系で鮮やかな色彩をもつものが多数あります。
今回の藤色はやさしい印象です。

           ◆花器(陶器)

直径約42cm、高さ約5cm。
器の口ぎりぎりまで水を入れても、剣山の先端が水中に入るかどうかというくらい
高さのない花器です。
黒く大きな器ですが、やわらかくあたたかな印象をもちます。

2012年8月19日日曜日

体験いけばな

ちぃ道場の体験にOさんが来てくれました。
人懐っこい笑顔に、引き込まれていきますよ〜。(^o^)

いけばなは経験あり。
さい頃から高校生くらいまでしていたそうです。

草月流のいけばなは初めてなので、
花型の原点「基本立真型(本勝手)」を盛花で体験しました。

花材は「にしきぎ」「アンスリウム」「ひおうぎ」です。

いかがでしょうか。

「ずいぶん長い間していないので、ぜ〜んぶ忘れてます」と話していましたが、
花材の向きを的確に見極めています。
足元もスッキリ入っています。

           ◆正面から


           ◆右から



           ◆左から


             ◆にしきぎ(錦木)[ニシキギ科]

秋には葉が錦のように紅葉します。
木肌もコルク質で独特の味わいがあります。
枝はバキバキと折りだめもできるので、造形的な作品にも力を発揮してくれます。


           ◆アンスリウム[サトイモ科]


花は中心の棒状の部分です。
光沢のある赤い部分は苞(仏炎苞)です。
丸みを帯びたハート形がかわいらしいですね。

茎をゆっくりと撓めることができます。


             ◆ひおうぎ(檜扇)[アヤメ科]



葉が檜扇を開いたように広がってつくことから命名されたようです。
夏にはオレンジ色の花を付けます。
花が終った後は緑色の実を付けます。
実が割れて光沢のある黒い種(ぬばたま/うばたま)があらわれます。
花も、実も、種があらわれた状態もどれも魅力があり、花材として使用します。


           ◆花器(ガラス器)


直径約30cm、高さ約5cmです。
外側は縦に線が刻まれていて、涼しげな印象です。



2012年8月18日土曜日

実もの(4-7)


実のついた花材を「実もの」といいます。
実ならではの、形や量感、リズム感はとても魅力的です。
実を主役に作品を構成します。

花材は「くり」「おみなえし」です。

さて、Nさんの作品です。

くりの実がリズム感よく配置されています。
葉を十分に整理して、実と枝振りを引き出しています。
残された葉の一枚一枚にもリズムを感じます。

おみなえしは緑味を帯びた黄色なので、黄味を帯びた緑色のくりとよくなじみます。
花器の口をふわりと隠すように入れています。

 ◆正面から

◆くり(栗)[ブナ科]
山地の日当りのよい場所を好んで生え、20m近くにも育つようです。
食用としては実の大きい「丹波栗」などが珍重されますが、
いけばなでは小さい実がたくさんつく「柴栗/茅栗」がよく使われます。

おみなえし(女郎花)[オミナエシ科]
秋の七草のひとつとして親しまれ、道ばたでも見かけます。
江戸時代の初めから栽培されているようです。

レナンセラ[ラン科]
花弁の細い品種で、花の朱赤が魅力的です。
今回の作品はくりの実と葉のリズム感に重きをおき、使用しませんでした。

          
◆花器(陶器)
筒型で上部に穴があります。
直径約11cm、高さ27.5cmです。


2012年8月17日金曜日

描きいけ(3-20)


『描きいけ』は花材と花器を決めたら、
いける前に頭の中でどんな作品にしたいか考え、絵を描きます。
その後にいけるのですが、実際にいける段階で気づく事がたくさんあります。

植物はそれぞれに主張するところがあり、
なかなか頭で考えていた通りにならないところもあります。
また、いけていく中でこの方がおもしろいと感じる発見もあります。

考えていた通りにならないのはなぜか、この方がおもしろく見えるのはなぜか、
この部分を考えてみる事が大切です。

今日の花材は「くり」「レナンセラ」「おみなえし」です。
・・・枝振り、色
そして花器をえらびます。

花材に花器を加えて考えます。
どんな作品にしようか・・・。
頭の中に浮かんだ作品をデッサンに描きます。

さて、Sさんの作品です。

        ◆デッサン



        ◆正面から

     
いかがでしょうか。

左に出ている一番長い「くり」の枝の出発が、上の口から脇の穴に移動しましたが、
作品が醸し出す空気は、デッサンそのままの作品に仕上がりました。
左右に大きく開いた「くり」の枝は力強く、おおらかさを感じます。
「レナンセラ」と「おみなえし」が混ざって、
色からも形状からも、お互いを引き立てています。
作品の中心を引き締めています。

        ◆左から


        ◆右から

     
          ◆くり(栗)[ブナ科]

葉っぱの緑がまだやわらかいです。
ピンポン球をちょっと大きくしたくらいの「いが」がいくつも付いています。
秋の足音を感じる花材ですね。

私が生まれた富山県の田舎・・・茅葺き屋根に囲炉裏がありました。
家の裏が山で栗の木もありました。
もう少し季節が進んで実が実ってくると「いが」がはじけて実が落ちます。
毎朝、落ちた実を拾うのを楽しみにしていたことを思い出します。


           ◆レナンセラ[ラン科]


ヴァンダの近縁です。
背萼片、側花弁ともに同じ形で細長く、唇弁は小さいです。



           ◆おみなえし(女郎花)[オミナエシ科]


秋の七草にも数えられている、秋を代表する花のひとつです。
粟粒のような黄色い小さい花をつけます。
「あわばな」とも呼ばれるそうです。


             ◆花器(陶器)


オーソドックスな筒型ですが、上部に穴があります。
直径約11cm、高さ27.5cmです。



2012年8月10日金曜日

生の植物と異質素材(4-11)

植物以外の素材を生の植物と合せて、作品を構成します。
植物以外の素材であれば制限はありません。

さて、Nさんの作品です。

花材は「パンパスグラス」「マリーゴールド」「てまり草」「なるこゆり」です。
異質素材は光り輝くCDです。
花器はCDの魅力を最大限に引き出そうと、
光を放っているステンレス製のものを選択しています。


        ◆正面から



CDはなるこゆりの枝にとおして、面の向きに気を配りながら固定しています。
CDと同じにまん丸のマリーゴールドとてまり草が作品にリズムを作っています。
鳥の羽のようなパンパスグラスが華やかさを加えています。



        ◆やや左から


        ◆やや右から



             ◆パンパスグラス[イネ科]



ふさふさとした羽のような穂は、大きなすすきという印象をもちます。
花屋さんには鞘に包まれた状態で出回ることが多く、
自分で鞘をむいて穂を出して使用します。
鋏が深く入ると穂を切り落としてしまいます。
穂の部分を長く出したいとよくばると、軸が細くなって折れてしまいます。

  ・・・お手伝いしたつもりが、1本折ってしまいました。ごめんなさい。


             ◆マリーゴールド[キク科]


鮮やかな黄色です。オレンジ色の花もよく見ます。
半球状にぎっしりと並ぶ花びらにはフリルがあり、華やかです。
独特の香りがあります。


             ◆てまり草[ナデシコ科]


             ◆なるこゆり[ユリ科]




いけばなで「なるこゆり」と読んでいる写真の花は、
本来のなるこゆりではなく、同じ属の「アマドコロ」(甘野老)だそうです。
北海道から九州に分布しているそうです。


             ◆花器(ステンレス)


草月のオリジナル花器です。
筒の直径は約9cmです。羽の端から端まで約40cm、筒の高さは約30cmです。